風雅堂異談
「え~っと、うちは殆どが古書でして。あっ週刊マンガもありますよ。一週遅れですが…」


「もう!いいわ!勝手に探すから!」
言うと都は店内を物色し始める。


小一時間も経ったであろうか?
両手に山のような本を抱えて都がレジに来る。
揉み手で迎える優。

「有難うございます。おっ、近代妖異聞お目が高い!西洋黒魔術なかなか通ですな。ダイエット入門?楽しい恋愛の進め?…これも仕事と関係が?」


「うるさい!早く会計済ませなさい!」

「は~ぃ。合計1万6千円です。」


「意外に安く上がったわね。あっ領収書頂戴ね!白紙でいいから!」


ちょっとうんざりしながらも、久々の万を超える売上。本を手提げ袋に詰める優は少し嬉しそうである。その本の中に異端抄があるのを、気が付いたか付かないか。


「ありがとうございました。また御贔屓に!」


「そうね、結構面白い本あるからまた来るかもね。それよりあんた色紙無いの?私みたいな有名人には普通サイン求めるでしょう!」


「はぁ~色紙?画用紙ならありますが…」


「もう!いいわ!私持ってるから!」
どうやら常に持ち歩いてるらしい。
さらさらとサインを残し出て行く都。
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