風雅堂異談
翌日、1人の男が風雅堂に来る。
スーツ姿のサラリーマン風である。


「ごめん下さい。」

「はぁ~ぃ。何でしょう?」
間延びした声で、優が答える。


「私、都碧のマネージャーをしている、中川と申します。突然の訪問失礼します。昨日なんですが都が倒れまして…」


「あっ!見た見た!どうしたの?続き見たかったのに、あのまま終わっちゃった。次回予告もないし?」


「よ、予告?あるわけないでしょ!そ、それでですね、運ばれた病院で…」


「亡くなった?惜しい人を亡くしました。あんなに本買ってくれた人は居なかった。合掌。」
目を閉じ頭を下げる優。


「あのねぇ!生きてます。ピンピンとはいかないけど、特に体は異常ないです。ただ精神が、錯乱と言うか?それで少しお尋ねしたい事が…」


「はぁ~何でしょう?」


「実は運ばれた病院で、都がずっとうわごとで、本が本がって言ってるんですよ。本って言って思い当たるのが、こちら様の領収書が有るのを思い出しお邪魔した次第で…」


「はい、確かにうちで沢山お買い上げ頂きました。が…あれ?何か引っかかるな?何だっけ?中川さん知りません?」


「私が知る訳ないでしょう!」
< 23 / 32 >

この作品をシェア

pagetop