風雅堂異談
「あっ、こんにちは。どこかでお会いしましたかね?」


呑気に老人に問い掛ける優。
後ろから見ていた中川。此処は五階で窓の外には人が立てるスペースは無い事を知っている。


「ぎゃー、で、出た~。なむあみだぶつのほうれんげきょうアーメン。」
パニックである。
その瞬間、かき消すように老人は消えた。


「目の錯覚。目の錯覚。」
ブツブツ呟く中川を尻目に、優はまだ考えていた。


『最近会った顔何だけどな?誰だっけ?』
暫く考えていたが、やがて諦め部屋を見て廻る優。


「この部屋は?」


「そこは寝室です。そこも見るんですか?」


「えぇ、此処に事件の鍵が隠されていると。私はこの事件を解決する為にこの部屋を見る義務があるのです。」
真面目な顔を作っているが、その目は好奇心で溢れている。それに、いつの間にか今回の事を事件扱いしている。


「はぁ、事件ねぇ?まっ本人居ないからいいですけど、びっくりしないで下さいね。」
意味深な言葉で、渋々納得する中川。


興味津々でドアを開ける優。


「えーっ!!何だ!この部屋は?」


その部屋は…
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