風雅堂異談
それから数日、何事も無く、まったりとした時間が流れていった。
入口のドアを開けて入って来る男。
久しぶりの客である。


「いらっさぃまし」余りの久しぶりに、言葉がおかしい優。

男が言う。
「相変わらず、気抜けてるなぁ、二代目」


男は喫茶店のマスターの、川辺であった。祖母の代からの商店街の住人は若干の揶揄を込め、優の事を二代目と呼ぶ。


「あっ、マスターでしたか?今日は何お求めで?」


「実はな、ばぁさまに連絡取れないかと思ってな。」


「祖母に?と言うと、こっち方面で?」手で恨めしゃの、幽霊ポーズをする優。

「ま、まぁそんな所だ。なぁ連絡してくれよ。」


一つ咳払いをし、胸を張る優。


「そちらの方面も、この二代目にお任せを。現在タイムサービス中!大安売りですよ!」


「おぃおぃ、スーパーじゃないんだから。まぁこの際お前さんでも良いか?実はな…」

マスターの話しを要約すると、
最近朝店に入ると、昨日仕入れた食材が腐っている。
最近、常連客が毎日来るのは来るが、皆日々生気が無くなっている様な気がする。夜、何となくだが誰かに見られてる気がして、眠れない。

「わかりました。お任せあれ!」
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