四日間の恋人契約

真田にタクシーのドアを押さえてもらって外に出る。そこは、リゾート・ワールド・セントーサ。セントーサ島一番の巨大複合型施設だった。

「さて、お嬢さん。どこに行きましょう」

眼鏡を右手で押し上げて、わざとらしく格好つけると、自然な仕草で真田が自身の左手で私の右手を取った。

「え、ちょっと、手繋ぐの!?」

そんなのは聞いてない。
ブンブンと離れない手を振り切ろうとすると、「暴れんな」と真田が私を引き寄せる。

「お手て繋いで、も昨日お前が言った」

「くっ、たしかに!」

「ま、聞いておいてなんだけど、まず飯食おーぜ」

そうしてスタスタとリゾートの中に入っていく。
中に入ると、すぐに右手に大きくcasinoの文字が光っており、まるでの駅の改札のように何箇所か身分証を確認する入り口があるようだった。

「お、ここがカジノだな。あとで来れたら来てみるか」

「あの入り口でみんな何か見せてるみたいだけど、私たち入れるのかな」

「パスポート見せれば入れるんじゃないか?吉野いまパスポート持ってる?」

「一応」

「よし」

そうしてカジノを通り過ぎて私達はショッピングモールの方へ歩く。
ひとつ、中華料理店があって、どうやらチキンライスもあるようだった。

「チキンライスはここで食べるか」

そのまま中に入って、席に案内される。ようやく手が離されて、私はホッと息を吐いた。

「なんか、あからさまにホッとされるとなあ」

真田の苦笑に、冗談じゃないと反論する。
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