四日間の恋人契約

「シンガポールのお酒と言えば、やっぱあれですよね、ほら、あの、…あれですよね」

「明里ちゃん……」

「うう、呆れた果穂先生の視線が胸に刺さる…。これあれだ、連続で外来処方間違って呆れられた時と同じ目だ」

「シンガポールスリングだろ」

今度は真田がにやりと笑って答える。すると明里も「それだ」と指を鳴らす。

「ラッフルズホテルにも行きたいよね」

そう、そのお酒から連想される有名ホテルを口にすると、また明里が適当な知識で「あの有名なジャムあるところですよね!名前は忘れた!」と自信満々に言うものだから笑ってしまう。きっと呆れた目はしていたけれど。

そうして、チリクラブを食べ、確かに少ないなと笑ったり、シンガポールスリングを飲んでその爽やかさと飲みやすさに驚いたり。そうして何だかんだ楽しくなってきた頃。

お酒の席では毎回ネタになる話がやってきた。

「で、お前ら4人は最近どうなんだ?ん?彼氏とかよ〜」

「……知ってますか、朝比奈教授。それセクハラって言うんですよ」

ジト目で医局内最高権力者を睨む入局して一年も経たない明里に、末恐ろしさを感じつつ、「そうだそうだ」と野次を飛ばす。
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