四日間の恋人契約
2章 契約履行
国際皮膚科学会一日目は、講師の志摩先生が乾癬治療について発表するので、私たちは蒸し暑い中、泣く泣くスーツを着込んでタクシー乗り場まで歩く。
会場はマリーナベイサンズから車で数分程度の場所にあるサンテック・シンガポール国際会議場だ。
緊張のせいか、はたまた朝食を食べ過ぎたせいなのかとにかく嘔気がするなどと訴える志摩先生の背中をさすりながらタクシーに乗り込む。
「もう俺は駄目だ……吉野、お前、俺の代わりに発表を…うぷ」
「気を確かに持って下さい志摩先生。そんなクマみたいな見た目でメンタルうさぎちゃんとか笑えないですよ…。というか先生発表したくないだけでしょ」
ポンポンと隣に座る志摩の背中を叩いていると、助手席に乗っている真田が後ろを振り向いて悲しげに眉を顰めた。
「そうですよ先生、俺らが入局したての頃、俺の酒が飲めないのかとビール瓶10本持ってきたあの強く恐ろしい志摩先生はどこに行ってしまったんですか?」
「うっぷ…はぁ。あの志摩はもう居ない……。志摩の無念を晴らしたくば、俺の代わりに発表を…ガクっ」
「そんなこと言ったってどうせやらなきゃいけないんですよ先生。とにかく、茶番はいいですからせめて吐かないで耐えてて下さいね。このスーツ私一張羅なんですから」
「無念…」
そうして会議場に着くと、事前に貰っていたチケットで会場入りした。
会場は様々なブースに分かれていて、ブース毎に違うプログラムが開催される。大体1時間から2時間区切りで次のセッションに行く。このシステムは日本の学会と変わらないようだった。
志摩を発表のブースに連れて行ったあと、私たちは一度その場を離れる。
会場はマリーナベイサンズから車で数分程度の場所にあるサンテック・シンガポール国際会議場だ。
緊張のせいか、はたまた朝食を食べ過ぎたせいなのかとにかく嘔気がするなどと訴える志摩先生の背中をさすりながらタクシーに乗り込む。
「もう俺は駄目だ……吉野、お前、俺の代わりに発表を…うぷ」
「気を確かに持って下さい志摩先生。そんなクマみたいな見た目でメンタルうさぎちゃんとか笑えないですよ…。というか先生発表したくないだけでしょ」
ポンポンと隣に座る志摩の背中を叩いていると、助手席に乗っている真田が後ろを振り向いて悲しげに眉を顰めた。
「そうですよ先生、俺らが入局したての頃、俺の酒が飲めないのかとビール瓶10本持ってきたあの強く恐ろしい志摩先生はどこに行ってしまったんですか?」
「うっぷ…はぁ。あの志摩はもう居ない……。志摩の無念を晴らしたくば、俺の代わりに発表を…ガクっ」
「そんなこと言ったってどうせやらなきゃいけないんですよ先生。とにかく、茶番はいいですからせめて吐かないで耐えてて下さいね。このスーツ私一張羅なんですから」
「無念…」
そうして会議場に着くと、事前に貰っていたチケットで会場入りした。
会場は様々なブースに分かれていて、ブース毎に違うプログラムが開催される。大体1時間から2時間区切りで次のセッションに行く。このシステムは日本の学会と変わらないようだった。
志摩を発表のブースに連れて行ったあと、私たちは一度その場を離れる。