愛と呪いは紙一重
相手の女性は会社をいくつも経営する社長の娘で、結婚すれば拓人は玉の輿だ。自分はただ拓人に遊ばれていただけなのだと、愛は絶望と共に気持ちを踏み躙られた怒りが沸いてくる。

お風呂から出た拓人に愛はSNSの写真を突き付け、そこから大喧嘩に発展した。

「そうだよ、お前とは遊びだった。将来華やかな世界へ行く男と付き合えたんだ。感謝しろよ」

「人の気持ちを踏み躙って最低!このこと全部、あんたが付き合ってる人にバラすから!」

愛がそう言うと、余裕そうだった拓人の表情は一気に崩れた。それだけはやめろ、と愛に縋る。浮気をしていたなど相手に知られれば、秒で別れを切り出されるに決まっている。

「愛、それだけはマジでやめろよ!」

「あんたに言う権利ないから。もう出てって!」

愛は拓人を追い出し、玄関の鍵を閉める。ドアの前でしばらく拓人は騒いでいたが、しばらくすると静かになった。

これで終わったとその時の愛は思っていたのだ。
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