愛と呪いは紙一重

「あんなのに襲われたら心臓が止まっちゃいますよ！止めなくていいんですか？」

そう恵が話している間も、後ろからは拓人の悲鳴と「ば、化け物！助けてくれ！」という声が聞こえてくる。

硝子は顔色を変えることなく恵の腕を振り解き、「帰るぞ」と恵の腕を引く。

「殺すことだけが復讐じゃない。彼女の場合はただ怖がらせたいだけ。それがわかっていたから、復讐に協力した。明日にでもあいつ、自首するんじゃないか？下手に助けようとすればお前が殺されるぞ」

遠くからは悲鳴が響いてきている。しかし、振り返ることが急に怖くなったため、恵は心の中で謝りながら硝子と共に地下駐車場を去った。



翌朝、捜査一課の部屋は大騒ぎになっていた。理由は一つである。自殺だと思われていた愛が殺害されており、その犯人が自首をしてきたからだ。

「いや〜、まさか自首してくるなんてな」

「でも犯人、だいぶ頭がイッちゃってるらしいぜ。自分が殺した被害者に襲われたとか言ってるらしい」