愛と呪いは紙一重
刑事たちの背後には、黒く禍々しいオーラを纏った人たちの姿が見える。その人たちは頭や腹から血を流し、体がぐちゃぐちゃの肉片となっているものまであった。そう、彼らは生きていない。

捜査一課に異動となった恵は、死者を見ることができる霊感を持った警察官だ。



恵の父は警察官で、母も警察官の娘である。つまり恵の家は警察官の家系であり、幼い頃から恵も「警察官になるように」と両親から言われ、剣道や柔道などを教わってきた。

そんな恵は、父や祖父母の背後に血だらけの女性と子ども、首に紐で締められたような痕が残った男性の姿を見たことが何度もあり、「その人は誰?怪我をしていた痛くないの?」と何度も訊ねたことがある。そのたびに顔を顰められた。

「おかしなことを言うんじゃない!」

「後ろには誰もいないよ」

「こんな変なことばかり言っていて、立派な警察官になれると思っているのか?」

本当に恵には見えているが、誰一人信じてくれない。そのことに恵は何度も布団の中で泣いた。
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