愛と呪いは紙一重
駅のホームに着くと、ブルーシートで現場は覆われ、ホームにいた人たちがブルーシートの方を見てヒソヒソと話している。中にはパニックになっている人もいて、女性の捜査員が駆け寄っていた。

ブルーシートの中に入ろうと恵が白い手袋をつけた時、ドクンと心臓が激しい運動をしたわけではないのに音を大きくする。これは、霊が近くにいる時のサインだ。恵の額に冷や汗が浮かぶ。

「灰原、早く行くぞ」

「は、はい!」

先輩に言われて恵が一歩足を踏み入れると、そこには悲惨な光景が広がり、目を覆いたくなるほどだった。

先ほどまで走っていたであろう電車には真っ赤な血が飛び散り、先に現場に来ていた捜査員と駅員たちが手分けしてバラバラに飛んでいった体のパーツを集めている。

「ッ!」

集められたパーツはブルーシートの上に置かれていくのだが、胴体から切断された顔は誰なのか判別できないほど潰れている。

「最近起きた事件より悲惨だな」

「ああ。服装からして女性で、自殺だろう」
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