【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 誠さんとの待ち合わせは40分後。昨日はお風呂にも入れていないから、さっとシャワーを浴びて、軽くメイク直しをするくらいの時間はある。
 そうと決まれば急ごう。服は後で選べばいいとキャリーケースをバスルームの入り口にあるシンクの横に置いて、バスルームの扉を閉めた。

 バスルームには大きな浴槽があって、お湯を張ってゆっくり浸かったら気持ちいいだろうなと浮かれつつ、普段より急いでシャワーを浴びた。シャンプーやボディソープは用意されていたアメニティを使用した。ホテルのロゴが入っていて、これもやっぱりゴールドだ。海外特有の、甘く濃いムスクの香りがする。
 普段はフローラル系の香りを好んで使っていたので、なんだか新鮮だ。

 ドライヤーで髪を乾かしながら、家政婦の藤さんが、私ときららに各自2つずつ準備してくれたキャリーバッグを開く。うち1つには主に洋服が入っており、取り出すと、新品で肌触りのいいグレージュのニットや、シフォンスカート、上品なワンピースが入っていた。どれもシンプルだけれど可愛くて、とても私好み。藤さんは、誠さんが私のために用意してくれていたと言っていたけれど、本当だろうか。……たまたま、他の女性と私の趣味が一緒だったからとかだったら嫌だな。なんて、ひとりでネガティブに考える。
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