【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「……他に質問は? ゆきのが望むならなんでも答えるよ」
額を軽く擦り合わせて、互いの息が絡み合う距離で問われる。誠さんの黒曜石のような双眸が私を映す。
体の奥から湧き上がる熱に項あたりがチリチリする。
ずっと、胸につっかえていた不安が顔を出す。
誠さんは私と誰かと重ねているんですか? プロポーズの日が初対面でなかったと知った今も、確信が持てない。こんなに疑って、彼を傷つけるかもしれない。
「どうしたの?」
あの日見てぞくりとした目とはまるで別物の、この優しい視線を失うかもしない。
でも……聞かなかったらもっと後悔する。直接誠さんの言葉で聞きたい。
「……誠さんは、私が欲しかったと仰ってくださいましたよね」
「ああ」と誠さんは頷いて、私が続けるのを待ってくれる。
「……私の他に、誠さんの想っている方がいたり……私をその人に重ねている……とか」
あのロングヘアーの彼女は、誰ですか? その一言が喉に引っかかってなかなか出てこない。誠さんの顔が見れない。声が震えないようにするのが精一杯。どうか否定して欲しい、そう願ったとき。
ガシャンッ! なにかが落ちた音がした。反射的に起き上がった誠さんがその音に駆け寄る。バスルームからだ。
「……え」
額を軽く擦り合わせて、互いの息が絡み合う距離で問われる。誠さんの黒曜石のような双眸が私を映す。
体の奥から湧き上がる熱に項あたりがチリチリする。
ずっと、胸につっかえていた不安が顔を出す。
誠さんは私と誰かと重ねているんですか? プロポーズの日が初対面でなかったと知った今も、確信が持てない。こんなに疑って、彼を傷つけるかもしれない。
「どうしたの?」
あの日見てぞくりとした目とはまるで別物の、この優しい視線を失うかもしない。
でも……聞かなかったらもっと後悔する。直接誠さんの言葉で聞きたい。
「……誠さんは、私が欲しかったと仰ってくださいましたよね」
「ああ」と誠さんは頷いて、私が続けるのを待ってくれる。
「……私の他に、誠さんの想っている方がいたり……私をその人に重ねている……とか」
あのロングヘアーの彼女は、誰ですか? その一言が喉に引っかかってなかなか出てこない。誠さんの顔が見れない。声が震えないようにするのが精一杯。どうか否定して欲しい、そう願ったとき。
ガシャンッ! なにかが落ちた音がした。反射的に起き上がった誠さんがその音に駆け寄る。バスルームからだ。
「……え」