【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「……また、謝ろうとしているだろう。……謝るのは俺の方だ。またゆきのを泣かせてしまった」

「いえっ、違うんです、私が」

 私が、誠さんを信用していなかったから。自分の妄想で誠さんを決めつけたから。

「いや、さっき話してくれただろう? ゆきのと誰かを重ねているんじゃないかって。……信用してもらえないかもしれないけれど、本当にゆきのだけだ。俺にはゆきのしかいない」

 真剣な表情で真っ直ぐ見つめられる。まるで真実を告げるように。

「愛している、ゆきの。君は俺の全てだ」

 どうか受け入れて。そう懇願するような切ない声。
 私はまた涙が溢れて、それを誠さんの指がそっと拭ってくれる。
 頬から目尻に触れる指先に、もっと触れて欲しくて頬を擦り寄せた。
 嬉しい。安心した。夢みたい。感じたことがないほどの多幸感に溺れてしまいそうで、少し怖い。

「私も……私もです……もっと誠さんのことを知りたいです」

「……そんなに煽らないでくれ。これでも我慢してるんだよ」

 熱っぽい目を逸らして、子供を宥めるように頭を撫でられる。
 身を屈めた誠さんに、頬や、耳たぶを食むようにキスを落され、その度勝手に身体が反応してしまう。

 多分私、いますごく恥ずかしい顔をしている。顔も身体も全部熱くて、どうすればいいか分からない。
 誠さんの熱い吐息が首筋にかかって、そのまま甘噛みされる。
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