【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 膝に力が入らなくなって、誠さんに腰を支えられてしまう。

「まこと、さん」

「……さすがにゆきのを目の前にして2回連続のお預けはできそうもないな」

「きゃ……っ!」

 1人で立つことさえままならなくなっている私を、誠さんは軽々と抱き上げて、ベッドの上に下ろした。
 誠さんが私の上にジャケットを脱いで、ネクタイを緩めながら覆いかぶさる。
 片手で間接照明以外のライトが落とされて、これから始まる行為に緊張が走る。

「……昨日の朝だって少しでも触れられればそのまま襲いかかってしまいそうで自分が怖かったくらいだ」

 冗談っぽく笑う彼に、私は醜態を思い出して誠さんの下でわたわたと焦る。
 朝、ネクタイに触れようとして避けられたまさかの理由に一気に恥ずかしくなってくる。
 誠さんが私の腰を浮かせて、ドレスの背中のファスナーをゆっくりと下す。そして、ぴたりと止めた。

「……今ならまだ止められる。嫌なら言ってくれ。最愛の妻に手荒な真似はしたくない」

 妻、その言葉にどきりとした。そうだ。私はこの人の、誠さんの妻で、誠さんは私の夫なのだと改めて自覚する。

「……嫌なはず、ないです。私の夫なら我慢しないでください。私も、我慢しないです」

 言葉がしり窄みになる。自分で言っていて恥ずかしい。誠さんの綺麗な瞳が大きく開かれて、愛おしげに細められる。
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