【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「本当に、ゆきのには敵わないな。……朝まで、で足りるかな」

「え? 朝までって――」


 その夜、間接照明だけが灯る部屋で、声が枯れるまで愛された。
 初めては痛いと思っていたのに、指と舌でとろとろにされて、ただ甘くて溺れてしまった。
 恥ずかしさなんてあったのは最初だけで、いつの間にか誠さんに縋りついて、朝日が昇る頃、ようやく誠さんの腕から解放された。
 けだるい体が溶けるようにシーツに沈んで、眠る私を抱きしめていた体温が離れる感覚に目が覚める。

「おはよう……昨日は無理をさせたね」

 ベットの脇に座った誠さんが顔にかかった髪をよけてくれる。昨日じゃなくて、もう今日でしたよ。なんていまだ余韻が残る体に思う。

「おはようございます……」

 昨晩のことがあったからか、妙に恥ずかしいし、シャツを羽織っただけの誠さんがすごく色っぽくみえる。
 ふと、自分の左手と目があった。軽く感じる薬指になんとも言えない気持ちになる。自分から外して突き返してしまった手前、今更やっぱり身につけたいとは言えない。

「なにか食べる? ブランチには丁度いい時間だね」

「ブランチ……って誠さんお仕事は!?」

 スマホに表示された時間は11時前。ルームサービスのメニューを開いた誠さんはにこりと微笑む。
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