【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「本当は優の仕事を手伝うつもりだったんだが、昨日のお詫びも兼ねて一人で片づけるらしい。このまま帰国してもいいんだけど……ゆきのさえよければもう少し俺に付き合ってくれないかな。観光でもどう?」

 とはいっても、日本で進めたい仕事があるからあまり長居はできないんだけれど、と誠さんは申し訳なさそうに付け足す。

「えっ、はい、それはもちろん……!」

 まさかこれ以上、ドバイで一緒にいられると思っていなかった。誤解も解けたことだし、お仕事の邪魔になるだろうから帰国しようと思っていたのに。すごくうれしい。

「誠さんと過ごせるのは嬉しいんですけど、優くんは一人で大丈夫なんでしょうか」

 差し出がましいと思ったけれど、もともとは誠さんに手伝ってもらう前提の話のようだったし少し心配になる。

「大丈夫だよ、アイツは優秀だから」

 けれど、まるで自分のことのようにはっきりと言い切る誠さんに心配は消え去った。

「そうですよね……! 余計な心配しちゃいました」

 えへへ、と笑う私の頬に誠さんの手が触れる。

「昨晩はあんなに俺の名前を呼んでくれたのに、今は優のことばかりだね……少し妬けるな」
 誠さんの指先が頬から首筋へと滑らされて、くすぐったさに体が反応してしまう。
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