【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「んっ……そんな、でも優くんと誠さんってなんとなく似てるのに似てないですよね、まるで私ときららみたいだなあって、ちょっと親近感あって嬉しかったんです」

 言葉にした後、浮かれすぎかなと思った。頬に優しく触れていた誠さんの指先がビクッと反応する。

「ああ……そうだね、仲がいい二人みたいだなんて光栄だな」

 かすかに目を伏せた誠さんがふっと微笑む。手つきと同じで優しいのに、どこか寂し気で、私は不安になった。

「あっ……ごめんなさい。ご存じかもしれないんですけど、私ときららは母親が違うんです。それなのに……」

 後ろめたいことでも、謝ることでもない。家族構成について誠さんに話したことはあったけれど、きららとのことを直接話したことはなかった。
 もちろん、政略結婚の話のときに父から聞いていたかもしれないけれどそれはあくまでも「情報」としての又聞きで。
 誠さんのことを知りたがっていたくせに、私は誠さんになにも知ってもらおうとしていなかったんだと自覚する。

 なんて身勝手だったんだろう。じわっと視界が滲むと、二本の腕が伸びてきて、包み込むように誠さんに抱きしめられる。

「俺は本当に君になにも話さず婚約したんだな。……俺と優は血は繋がっていないんだ」

 ――え? 誠さんの告白に、腕の中で顔を上げる。誠さんは遠くをみていて、目が合わない。
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