【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
気付けば私は彼に抱きついていた。奇跡だ。15年前、たった一度会っただけの少年が、今婚約者として目の前にいる。夢の中で何度も彼に救われた。おぼろげな記憶の中で彼が笑っていてくれたらいいのにと何度も願った。
彼が私の目の前で握った拳を開く。そこには昨日突き返してしまったエンゲージリングがあった。
「もう一度受け取ってくれ。どうか、俺の妻としてこれからも隣にいてほしい」
私は震える手で、それを受け取った。初めてのプロポーズのときとは違う。胸が幸福と、切なさと愛しさに溢れている。
「はい……っ」
私はもう我慢することができなくて、彼の胸に顔を押し当てて、彼のシャツを濡らす。
「俺はゆきのを泣かせてばかりだね」
誠さんはこのうえなく幸せそうに、子供みたいな笑顔でそういった。
「だめです誠さん、明日のフライト早いんですから」
再度私の上に覆い被さった誠さんを窘める。ホテルの誠さんの部屋に戻ってくるなり私たちは互いに求め合い、気付けば窓の外はすっかり暗くなっていた。
何度も強請る誠さんの体力について行けず、ついに私もギブアップして枕に顔を埋めて逃げる。
「それにさっきから電話が鳴っているのも気になります」
「……相手は分かってるから今出たくないんだが」
私がじとっと枕越しに誠さんを見つめると、観念した彼は漸く何度目かの着信にでる。
「……俺――」
彼が私の目の前で握った拳を開く。そこには昨日突き返してしまったエンゲージリングがあった。
「もう一度受け取ってくれ。どうか、俺の妻としてこれからも隣にいてほしい」
私は震える手で、それを受け取った。初めてのプロポーズのときとは違う。胸が幸福と、切なさと愛しさに溢れている。
「はい……っ」
私はもう我慢することができなくて、彼の胸に顔を押し当てて、彼のシャツを濡らす。
「俺はゆきのを泣かせてばかりだね」
誠さんはこのうえなく幸せそうに、子供みたいな笑顔でそういった。
「だめです誠さん、明日のフライト早いんですから」
再度私の上に覆い被さった誠さんを窘める。ホテルの誠さんの部屋に戻ってくるなり私たちは互いに求め合い、気付けば窓の外はすっかり暗くなっていた。
何度も強請る誠さんの体力について行けず、ついに私もギブアップして枕に顔を埋めて逃げる。
「それにさっきから電話が鳴っているのも気になります」
「……相手は分かってるから今出たくないんだが」
私がじとっと枕越しに誠さんを見つめると、観念した彼は漸く何度目かの着信にでる。
「……俺――」