【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「条件って改めて言われると……」

 ふう、と溜息をついてみる。だめだ。なんて答えるのが正解なんだろう。

「条件だろ。政略結婚なんて……っ」

 ぐっと奥歯を嚙み締めるような表情の健二くんに胸が痛む。見透かすような視線が怖い。
 宇野堂のため? 仕方がないことだから? もう納得はしてるから大丈夫?
 どれも口に出したら否定されそう。きららのおかげで浮ついていた空気がどんどん重くなる。

「はあ? なにその言い方。私のお姉ちゃんだよ? 絶対絶対、幸せになれるに決まってるじゃん。まあ、半分しか血繋がってないけど。それでも私の半分は幸せになれるでしょ」

 重たい空気を破ったのはきららの声だった。長くて綺麗に巻いた髪を掻き上げて、健二くんを威圧する。

「……半分半分って連呼するなよ」

「えっ、いや、事実だから」

「知ってるけどさ」

 思わず割って入った私に、健二くんはバツが悪そうに顔を逸らす。
 妹のきららの言う通り、私ときららは半分しか血が繋がっていない。
 きららと私は所謂、腹違いの姉妹だ。
 きららの母はお見合い結婚できららを産んで直ぐに亡くなったらしい。
 私の母は、父が結婚する前に恋人同士で、別れたあと妊娠が発覚して、父には知らせず、一人で産んだらしい。
 そんな母は、私が9歳の時に病死し、その噂を人伝えに耳にした父に引き取られた。
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