【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
目尻に溜まった涙を指で拭いながら、優くんがにっこり微笑む。義弟としての表情だ。
「オレも子供みたいなことやめないとですね。海外事業部も全力で新ホテル計画に協力すると兄に伝えます。兄のご随意のままに」
立ち上がると紳士らしい丁寧なお辞儀をして「では」と踵を返す。その姿が誠さんに似ていて、血は繋がっていないと言っていたけれどやっぱり兄妹なんだなとしみじみ感じる。
私の視線が伝わっていたのか、少し拗ねたような顔で優くんが振り返った。
「あとそれから……オレ、撮影でスカートはくしメイクもしますけど、恋愛対象は女性ですから。……きららちゃんにも話してあります」
一方的にそういうと彼は足早に去って行ってしまった。彼の耳まで赤くなるところが、誠さんそっくりで思わず私まで伝染する。
私のスマホが鳴って、画面をみるときららから連絡がはいっていた。『この優さんすっごく美人!』と興奮気味に優くんのワンピースをきた雑誌のスナップ写真つきで。前言撤回。心苦しいどころか、嬉しくてわくわくして、にまにまと緩む頬を抑えられない。私は藤さんから習いたての、誠さんの好物のスパイスカレーを煮込む鍋の元へ、スキップしながら戻っていった。
――8年後。
ざあっと風が吹いて桜吹雪に包まれる。遠目にみえる新ホテルからもこの桜並木がみえるだろう。
「オレも子供みたいなことやめないとですね。海外事業部も全力で新ホテル計画に協力すると兄に伝えます。兄のご随意のままに」
立ち上がると紳士らしい丁寧なお辞儀をして「では」と踵を返す。その姿が誠さんに似ていて、血は繋がっていないと言っていたけれどやっぱり兄妹なんだなとしみじみ感じる。
私の視線が伝わっていたのか、少し拗ねたような顔で優くんが振り返った。
「あとそれから……オレ、撮影でスカートはくしメイクもしますけど、恋愛対象は女性ですから。……きららちゃんにも話してあります」
一方的にそういうと彼は足早に去って行ってしまった。彼の耳まで赤くなるところが、誠さんそっくりで思わず私まで伝染する。
私のスマホが鳴って、画面をみるときららから連絡がはいっていた。『この優さんすっごく美人!』と興奮気味に優くんのワンピースをきた雑誌のスナップ写真つきで。前言撤回。心苦しいどころか、嬉しくてわくわくして、にまにまと緩む頬を抑えられない。私は藤さんから習いたての、誠さんの好物のスパイスカレーを煮込む鍋の元へ、スキップしながら戻っていった。
――8年後。
ざあっと風が吹いて桜吹雪に包まれる。遠目にみえる新ホテルからもこの桜並木がみえるだろう。