【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 普段膝下のスカートばかり履いているせいか、ちょっと馴れない。

「もうちょっとスカート長い方がいいんじゃないかな……あれとか」

 先程健二くんに却下されて店員さんが持っている、マキシ丈のドレスを指さす。

「あちらも素敵でしたが、彼氏さんもおっしゃっているようにこちらよくお似合いですよ」

 あまり乗り気でない私にすかさず店員さんがフォローをいれる。

「あのっ、この人は彼氏とかそんなんじゃ……」

「あー、取り敢えずそれにしとけって」

 店員さんの一言にわたわたと反応している私に、健二くんは腕時計をみてそういった。確かに、この後予約した美容院の時間を考えるとそろそろ決めないといけない。

「あっ、えっと、すみません、これください」

 私は今着ているドレスを購入することにした。誠さんのことを私より知っている健二くんと、センスのある店員さんが選んでくれたドレスなのだから、きっといいのだろう。
 私に似合うのかどうかは置いておいて、ドレス自体はとても素敵だ。

 ドレスはそのまま着て美容院にいくことにした。合わせて購入したパンプスは馴れないせいか少し歩きづらい。

「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

 お店をでて、私はまだ驚いていた。
 会計のときに初めて気がついた。想定よりずっと安く済んでしまったのだ。
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