【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
目の前に立っている男性をみる。スーツの相場なんて分からない私にも、上等なものだと一目でわかるダークネイビーのスリーピーススーツ。思わず見上げてしまう長身。
艶のある黒髪に、凜とした雰囲気の瞳が色気を感じさせる均整な顔立ち。機械的なまでに完璧な微笑み。
例えるなら、誰も寄せ付けない深い森に住む孤独な王子様。……なんて、寝不足からくる現実逃避でファンタジックなことを考える。
突然結婚だなんて、意味の分からないことさえ言っていなければ、私も思わずときめいていたかもしれない。
……いや、本当に目の前の彼がそんなことを言ったのだろうか?
今、彼の目に映っているのはアイドルのように可愛い子でも、セクシーなモデルのような女性でもない。容姿は悪くもなければ良くもない。取り柄は真面目なことくらいだったけれど、24歳になった今、それすら短所なのではと思う。
真面目で素直と言えば聞こえはいいけれど、単に臆病さから先回りして考えて、諦める癖がついているだけで。
……自分のマイナスの部分ならいくらでも出てきてしまう。やめよう。
ここ連日寝不足だったから……そのせいで寝ぼけているのでは?
うん。きっとそうだ。目の前の男性が優しく微笑みかけてくる。
「失礼しました。ぼうっとしてしまって……えっと、申し訳ないのですがうちはもう営業していないんです」
艶のある黒髪に、凜とした雰囲気の瞳が色気を感じさせる均整な顔立ち。機械的なまでに完璧な微笑み。
例えるなら、誰も寄せ付けない深い森に住む孤独な王子様。……なんて、寝不足からくる現実逃避でファンタジックなことを考える。
突然結婚だなんて、意味の分からないことさえ言っていなければ、私も思わずときめいていたかもしれない。
……いや、本当に目の前の彼がそんなことを言ったのだろうか?
今、彼の目に映っているのはアイドルのように可愛い子でも、セクシーなモデルのような女性でもない。容姿は悪くもなければ良くもない。取り柄は真面目なことくらいだったけれど、24歳になった今、それすら短所なのではと思う。
真面目で素直と言えば聞こえはいいけれど、単に臆病さから先回りして考えて、諦める癖がついているだけで。
……自分のマイナスの部分ならいくらでも出てきてしまう。やめよう。
ここ連日寝不足だったから……そのせいで寝ぼけているのでは?
うん。きっとそうだ。目の前の男性が優しく微笑みかけてくる。
「失礼しました。ぼうっとしてしまって……えっと、申し訳ないのですがうちはもう営業していないんです」