【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
手伝いにきてくれている伯母が、不審者に嬉々として話しかけた。九条、と名前まで知っているらしい。
「えっと、伯母さん……この方お知り合いなんですか?」
「知ってるもなにも……ゆきのちゃん、あなたはこの方と結婚するのよ。ご挨拶なさいね」
「結婚……? え? 結婚? 私が?」
「あらあらこの子ったら恥ずかしがっちゃって! お父さんのエンディングノートにも書いてあったじゃない!」
エンディングノート。確かに父は先日亡くなったが、まさかあの落書きだらけのノートに書いてあった『ゆきのの婚約者について』のこと!?
ひょうきんだった父の冗談だと思って、全く本気に捉えていなかった。そのため流し読みしただけで内容まで覚えていない。
伯母は私を彼の前にぐいっと差し出すと、彼は私の手を握った。
「いえ、突然伺ったのは俺のほうですから……自己紹介がまだだった。俺は九条誠と申します」
「あっ……えっと、宇野ゆきのです」
「やっと会えて嬉しいよ。ようやく俺のものだ」
伯母に促されるまま、おどおどと自己紹介をして、九条誠、そう聞いた名前を脳内で繰り返す。求婚された相手の名前も知らなかったのだ、と改めて気付かされた。
「えっと、伯母さん……この方お知り合いなんですか?」
「知ってるもなにも……ゆきのちゃん、あなたはこの方と結婚するのよ。ご挨拶なさいね」
「結婚……? え? 結婚? 私が?」
「あらあらこの子ったら恥ずかしがっちゃって! お父さんのエンディングノートにも書いてあったじゃない!」
エンディングノート。確かに父は先日亡くなったが、まさかあの落書きだらけのノートに書いてあった『ゆきのの婚約者について』のこと!?
ひょうきんだった父の冗談だと思って、全く本気に捉えていなかった。そのため流し読みしただけで内容まで覚えていない。
伯母は私を彼の前にぐいっと差し出すと、彼は私の手を握った。
「いえ、突然伺ったのは俺のほうですから……自己紹介がまだだった。俺は九条誠と申します」
「あっ……えっと、宇野ゆきのです」
「やっと会えて嬉しいよ。ようやく俺のものだ」
伯母に促されるまま、おどおどと自己紹介をして、九条誠、そう聞いた名前を脳内で繰り返す。求婚された相手の名前も知らなかったのだ、と改めて気付かされた。