【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 はあ、と自分に対して溜息をついて私は誠さんの車が駐めてある駐車場へと向かった。
 ホテルの地下にある駐車場につくと、自分以外にも何人か先程のパーティーで見た人たちがいた。その人達に会釈しつつ、私も誠さんの車を探す。

「……この辺だと思ったんだけど……あれ……?」

 普段なら一目で分かる誠さんの愛車も、高級車の並んだ駐車場では探すのも一苦労だ。そのなかで、目的の車より先に私が見つけてしまったのは誠さんだった。
 誠さんの用って駐車場でだったの?それならなぜ別々に――……そう思って声をかけようとした口を思わずとじてしまったのは、誠さんの視線の先に女性がいたからだ。
 私は思わず車の影に隠れてしまう。悪いことをしているわけではないのに、みてはいけないものを見てしまったような気分になる。

 長い金色の髪、すらりと伸びた長い手足で細身のパンツスーツを着こなしている。
 大きなサングラスをしていて表情は分からない。けれど白い肌に真っ赤なリップが映えていて、とても綺麗な人だと思った。

 距離的に誠さんと女性がなにを話しているのかは分からない。
 相手の女性は誠さんからなにかを受け取ると、赤い車に乗り込み、窓からまた話しかけた。
 誠さんは溜息をつくような表情をして、仕方がないというような顔をする。
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