【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
私は全部記憶の奥底に押し込んで、ぱっと笑ってみせる。
自分の内側で起こったことは、辛いことも苦しいことも、見ないふり気付かないふりをするのが一番楽なのだと二十四年生きてきて知っているはずだった。彼と出会って、浮かれてすっかりそれを忘れてしまっていたのだ。
「えっと、よかったです……なにか失言したのではないかと心配だったので」
私が頬をかいて安堵しきった顔をすると、誠さんは「なぜ?」と問う。
「普段はとてもよく目が合うのに、今日はあまり合わなかった……ので」
自分で言っていて、いつもは自分が誠さんに見て貰っている、そんな怠慢に聞こえるし、今日私が誠さんのことばかり見ていたと自白してしまった。今日はお仕事の一環でパーティーに参加したというのに、これこそ失言だ。
あっと口を押さえたときにはもう遅くて、誠さんは眉間に皺を寄せて困った顔になる。
「まいったな……」
誠さんが溜息のように呟く。それもそうだ。仕事中目が合わないことを気にされるなんて思ってもみなかっただろうから。少しお役に立てたからって調子に乗って、余計なことを言ってしまった。
「今日ゆきのを見られなかったのは今日のゆきのがいつに増して綺麗だったからだよ。……見ていた
ら他の人の目に触れさせたくなくなってしまうからね」
自分の内側で起こったことは、辛いことも苦しいことも、見ないふり気付かないふりをするのが一番楽なのだと二十四年生きてきて知っているはずだった。彼と出会って、浮かれてすっかりそれを忘れてしまっていたのだ。
「えっと、よかったです……なにか失言したのではないかと心配だったので」
私が頬をかいて安堵しきった顔をすると、誠さんは「なぜ?」と問う。
「普段はとてもよく目が合うのに、今日はあまり合わなかった……ので」
自分で言っていて、いつもは自分が誠さんに見て貰っている、そんな怠慢に聞こえるし、今日私が誠さんのことばかり見ていたと自白してしまった。今日はお仕事の一環でパーティーに参加したというのに、これこそ失言だ。
あっと口を押さえたときにはもう遅くて、誠さんは眉間に皺を寄せて困った顔になる。
「まいったな……」
誠さんが溜息のように呟く。それもそうだ。仕事中目が合わないことを気にされるなんて思ってもみなかっただろうから。少しお役に立てたからって調子に乗って、余計なことを言ってしまった。
「今日ゆきのを見られなかったのは今日のゆきのがいつに増して綺麗だったからだよ。……見ていた
ら他の人の目に触れさせたくなくなってしまうからね」