【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
ブーッ、ブーッ――……。
そんな暢気なことを考えていると2人の間にバイブ音が響く。胸ポケットから顔を出している、彼のスマホのようだ。ブーッブーッと断続的に響いて、彼は仕方ないと言わんばかりの表情で、握っていたなにかを懐に戻してポケットからスマホを取り出した。
「俺だ。……ああ。わかった」
一瞬で機械的な笑みさえ消えて、抑揚のない声になる。口調さえ変わった彼に、冷たさすら感じて私の背中はぞくりとした。
伯母がこそっと私に耳打ちする。
「大丈夫よお、あれだけ男前だし、その上あの九条さんところの副社長よ! 安泰よ!」
副社長!? あの九条さん、といわれても存じ上げない。
知っていることを前提に話されている。副社長というだけで縁遠いのに、誰もが知っている企業の、という意味なのだろうか。
一方、彼は電話を切ると、私と伯母の間に割って入る。彼の手が、私の頭にぽんっと触れた。
伯母の圧に緊張しているからか、なぜか嫌じゃない。寧ろ、ちょっと安心感すらある。
「すまない……そろそろ仕事に戻らなければいけないみたいだ。また会いに来るよ」
連絡するから、とあわただしく連絡先を交換して、彼は店の前に停車した黒い車に乗り込んで行ってしまった。
彼の車がみえなくなると、伯母さんは、ふう、と溜息をつく。
そんな暢気なことを考えていると2人の間にバイブ音が響く。胸ポケットから顔を出している、彼のスマホのようだ。ブーッブーッと断続的に響いて、彼は仕方ないと言わんばかりの表情で、握っていたなにかを懐に戻してポケットからスマホを取り出した。
「俺だ。……ああ。わかった」
一瞬で機械的な笑みさえ消えて、抑揚のない声になる。口調さえ変わった彼に、冷たさすら感じて私の背中はぞくりとした。
伯母がこそっと私に耳打ちする。
「大丈夫よお、あれだけ男前だし、その上あの九条さんところの副社長よ! 安泰よ!」
副社長!? あの九条さん、といわれても存じ上げない。
知っていることを前提に話されている。副社長というだけで縁遠いのに、誰もが知っている企業の、という意味なのだろうか。
一方、彼は電話を切ると、私と伯母の間に割って入る。彼の手が、私の頭にぽんっと触れた。
伯母の圧に緊張しているからか、なぜか嫌じゃない。寧ろ、ちょっと安心感すらある。
「すまない……そろそろ仕事に戻らなければいけないみたいだ。また会いに来るよ」
連絡するから、とあわただしく連絡先を交換して、彼は店の前に停車した黒い車に乗り込んで行ってしまった。
彼の車がみえなくなると、伯母さんは、ふう、と溜息をつく。