【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「なんだか以外ですね、あっ、悪い意味じゃなくて」

 もっと聞いたこともない名前の料理とかかと思っていた。

「宇野堂さんのお菓子も何度も秘書に買わせにいって……私もお土産でいただきました。とても美味でございました」

「あ、ありがとうございます」

 誠さんが何度も宇野堂のお菓子を食べてくれていたなんて初耳だ。秘書さんにと言っていたので直接来ていたわけではないのだろうけれど、家政婦の藤さんにまで紹介していてくれていただなんて、嬉しい。

 味自慢だけれど、決して有名とはいえない宇野堂のお菓子は地元のお客様向けが殆どだった。だから地元ではない誠さんが食べてくれているだけでも嬉しいのに、藤さんにまで紹介してくれて、宇野堂の和菓子の輪が広がっていることが凄く嬉しい。

「藤さんはもう何年くらいこの家にお勤めされているんですか?」

「この家へは誠様が引き取られてからになりますので15年ほど前からでございます。とはいえ大旦
那様や優様が出られて誠様お一人になられたときにお暇をもらっておりましたので、私も数年ぶりで御座います」

 え? 誠さんが引き取られた? 誠さんが一人で暮らしているときもてっきりお世話を頼んでいるとおもっていたから、数年ぶりにこの家に来たということにも驚いたけれど、初耳の連続で思わず耳を疑う。

「誠さんが引き取られたってどういう意味ですか……?」
< 73 / 145 >

この作品をシェア

pagetop