【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 早速なにか一つ一緒に作ってみよう、そう藤さんと話していると、ピンポーンとインターホンの呼び出し音が鳴り響く。

「私が出て参りますので奥様はお待ちになっていてください」

 そう藤さんに言われて、2階から1階を繋ぐ螺旋階段からこっそり覗いていると現れたのは妹のきららと健二くんだった。

「きらら! 健二くん! どうしたの?」

 思わずきららのもとへ駆け寄る。

「九条誠さんから出張になってお姉ちゃんが一人だって連絡があって、荷ほどき手伝いにきたの! まあそれは口実で、遊びにきちゃった」

「俺は本当に手伝いに来ただけな。力仕事終わったら即帰るから。この前のお詫びさせてくれ」

「お詫びなんてそんな……私のほうこそ謝らなきゃって思ってたの」

 互いに謝罪し合う私と健二くんの間を「折角渋谷来たんだから早く終わらせて買い物行こう!」ときららが割って入る。私たちは「それもそうだね」と顔を見合わせて私の少ない荷物の荷ほどきを始めた。

 必要以上の言葉がなくてもわかり合えて、一緒に居ることができる。姉妹であり、友達であり、兄妹のようなこの関係が心地いい。誠さんともこんなふうにわかり合えたらどんなにいいのだろう。

 三人がかりなのもあって、荷ほどきは一瞬で完了してしまった。

「お姉ちゃんの荷物全部で段ボール3箱ってどうなの」

「そんなに持ってくるものもなかったし……」
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