【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「それにお前さあ、自分のこと誠へのお礼の品とかいうのやめろよ。どうせアイツまだお前になにも話してないのかもしれないけど……」

 何も話してない。その言葉に私はカッとなって思わず声のボリュームがあがる。

「そうだよ! 私は彼からなにも聞けてないし、話して貰おうともしてなくて……政略結婚みたいなものなんだから私がずけずけ聞けるわけ――」

 図星で、完全な八つ当たりだ。そんな私の声を切ったのはきららだった。

「お姉ちゃんが言ってること、案外当たってるのかもしれないよね」

 きららの声は普段よりずっと低くて、抑揚がないそれに私と健二くんは黙る。

「九条誠さんってさ、散々モテたっていうか今でも隙あらばって狙ってる子沢山いるのに浮いた話が全然なかったの。どこ調べても出てこない……そんな人が急にお姉ちゃんと結婚だよ!? お父さんからのプレゼントとして? 私たちへの同情?」

 きららは堰を切ったように、どんどん口調が強くなる。そして大きな目を潤ませた。

「九条誠さんは仕事にしか興味なくて、それも利益のためなら平気で人を利用する、感情のない人だってネットでも有名な話だよ。その彼女となにか理由があって一緒にいられないから、表向きにはお姉ちゃんと結婚すると都合がよかったとか……彼女の代わりとか、そういうのじゃないの。それなら納得いっちゃうじゃん」
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