【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
万が一、これから起こす行動によって婚約破棄になったとしても、誠さんは健二くんの雇用を取りやめたり、高校生のきららを放り出したりはしないだろう。
私を「彼女」の代わりにしているかもしれない彼に対してそんな確信があった。彼はそんな非情な人ではない。そうであってほしいという私の期待なのかもしれないけれど。
もし、私の想像が事実だとしたら、飼い殺しを受け入れて、これ以上自分に嘘をついて生きていくのは嫌だ。
私のことは愛していない。彼にそうはっきりと目の前で言われればきっと、今まで味わったこともないくらい深く傷つくかもしれない。今だって、想像しただけで呼吸が浅くなる。
それでも、愛されていないことがわかりながら愛されたいと望み続けるような日々を送るなんて、そっちのほうがきっと辛い。
私の隣で肩を震わせて泣いている、きららの背中をさすってキッチンに声をかけた。
「さてと……藤さん。お出かけの準備を手伝っていただけますか?」
一瞬、驚いた顔をした藤さんはすぐににこりと微笑み「はい奥様」と頷いて説明する前にその場を後にした。
「お姉ちゃんどこか行くの?」
涙を拭いて、顔を上げたきららが不安げに問う。
「うん。アブダビへ」
「ええっ!? 今から!?」
「うん。あっ、お金の心配なら大丈夫だよ。さて、フライト調べないとね」
きららは私の突飛な発言にぽかんと口をあけている。
私を「彼女」の代わりにしているかもしれない彼に対してそんな確信があった。彼はそんな非情な人ではない。そうであってほしいという私の期待なのかもしれないけれど。
もし、私の想像が事実だとしたら、飼い殺しを受け入れて、これ以上自分に嘘をついて生きていくのは嫌だ。
私のことは愛していない。彼にそうはっきりと目の前で言われればきっと、今まで味わったこともないくらい深く傷つくかもしれない。今だって、想像しただけで呼吸が浅くなる。
それでも、愛されていないことがわかりながら愛されたいと望み続けるような日々を送るなんて、そっちのほうがきっと辛い。
私の隣で肩を震わせて泣いている、きららの背中をさすってキッチンに声をかけた。
「さてと……藤さん。お出かけの準備を手伝っていただけますか?」
一瞬、驚いた顔をした藤さんはすぐににこりと微笑み「はい奥様」と頷いて説明する前にその場を後にした。
「お姉ちゃんどこか行くの?」
涙を拭いて、顔を上げたきららが不安げに問う。
「うん。アブダビへ」
「ええっ!? 今から!?」
「うん。あっ、お金の心配なら大丈夫だよ。さて、フライト調べないとね」
きららは私の突飛な発言にぽかんと口をあけている。