教育的(仮)結婚~残念御曹司(?)のスパダリ育成プロジェクト~
ところが相手は逆だった。俺が下手に出たからかもしれないが、急に攻撃的になったのだ。
「桐島さん、この男は誰なんだ? だいたいどうしてここにいるの?」
一度は静かになったくせに、田島は居丈高な口調で亜美を問いつめ始めた。
「ここは完全予約制のサロンだって聞かされたけど……これはどういうわけ?」
「こちらは……」
顔を上げた亜美は困った様子で言いよどんでいる。突然現れた俺のことを、なんと説明すればいいのか悩んでいるのだろう。
「俺は彼女の関係者だ!」
「か、関係者?」
俺が口を挟むと、田島はまた怯んだように見えたが、「桐島さんに訊いているんだ」と亜美を睨んだ。
彼女が相手なら、客として優位に立てると判断したらしい。
「田島様、こちらはわたくしが親しくしていた方です。今朝からいろいろご心配をいただいていて……だから様子を見に来られたのだと思います」
「彼氏ってこと?」
「いいえ。とにかく心からお詫び申し上げます」
動揺しているはずなのに、亜美は田島の視線を受け止め、しっかりした声で答えた。
「たいへん申しわけございません。こちらの方にはすぐお引き取りいただきます」
姿勢を正し、深く頭を下げる彼女を見て、俺の胸がズキンと痛んだ。
(……どうして?)
もちろんこの場合、そう言うしかないだろう。それでもずいぶん理不尽な気がした。
本来なら責められるべきなのは俺だし、さらにいえばもっと悪いのは、よけいなことを企んだ田島だ。
そもそもこいつは、かつて亜美を――。
「桐島さん、この男は誰なんだ? だいたいどうしてここにいるの?」
一度は静かになったくせに、田島は居丈高な口調で亜美を問いつめ始めた。
「ここは完全予約制のサロンだって聞かされたけど……これはどういうわけ?」
「こちらは……」
顔を上げた亜美は困った様子で言いよどんでいる。突然現れた俺のことを、なんと説明すればいいのか悩んでいるのだろう。
「俺は彼女の関係者だ!」
「か、関係者?」
俺が口を挟むと、田島はまた怯んだように見えたが、「桐島さんに訊いているんだ」と亜美を睨んだ。
彼女が相手なら、客として優位に立てると判断したらしい。
「田島様、こちらはわたくしが親しくしていた方です。今朝からいろいろご心配をいただいていて……だから様子を見に来られたのだと思います」
「彼氏ってこと?」
「いいえ。とにかく心からお詫び申し上げます」
動揺しているはずなのに、亜美は田島の視線を受け止め、しっかりした声で答えた。
「たいへん申しわけございません。こちらの方にはすぐお引き取りいただきます」
姿勢を正し、深く頭を下げる彼女を見て、俺の胸がズキンと痛んだ。
(……どうして?)
もちろんこの場合、そう言うしかないだろう。それでもずいぶん理不尽な気がした。
本来なら責められるべきなのは俺だし、さらにいえばもっと悪いのは、よけいなことを企んだ田島だ。
そもそもこいつは、かつて亜美を――。