教育的(仮)結婚~残念御曹司(?)のスパダリ育成プロジェクト~
とたんに林太郎さんが目を輝かせたので、私までうれしくなった。
「いいな、それ」
「行きましょう!」
気持ちがはやって、つい早足になる。
けれどもこのローマでは、いろいろ気をつけなければいけないことがあった。
まず人がとても多いので、スリや置き引きに注意しなければならない。
それから実は、趣のある石畳の道も意外に危険だった。
この『サン・ピエドリーニ』(石畳)は文字どおり小さな石が敷き詰められていて、隙間もあり、けっこう歩きにくい。
さらに雨が降れば、ツルツル滑るのだ。
私も最初は苦労したし、靴のヒールをだめにしたこともある。だが今ではすっかり慣れたはずだったのに。
「あっ!」
突然、スニーカーの先端が小さなくぼみに引っかかった。
大きくバランスが崩れて、前のめりに倒れそうになったが――。
「危ない!」
しかし私が転ぶことはなかった。林太郎さんがとっさに腕をつかんでくれたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「大丈夫か? やっぱり調子が悪いんじゃないのか?」
「いえ、ちょっとつまずいただけですから」
林太郎さんは私に探るような視線を向けてきたが、やがて肩を竦めて腕から手を離した。
「わかった。じゃあ行こう」
「はい」
頷いて、歩き出そうとして……私はその場に固まってしまった。
「いいな、それ」
「行きましょう!」
気持ちがはやって、つい早足になる。
けれどもこのローマでは、いろいろ気をつけなければいけないことがあった。
まず人がとても多いので、スリや置き引きに注意しなければならない。
それから実は、趣のある石畳の道も意外に危険だった。
この『サン・ピエドリーニ』(石畳)は文字どおり小さな石が敷き詰められていて、隙間もあり、けっこう歩きにくい。
さらに雨が降れば、ツルツル滑るのだ。
私も最初は苦労したし、靴のヒールをだめにしたこともある。だが今ではすっかり慣れたはずだったのに。
「あっ!」
突然、スニーカーの先端が小さなくぼみに引っかかった。
大きくバランスが崩れて、前のめりに倒れそうになったが――。
「危ない!」
しかし私が転ぶことはなかった。林太郎さんがとっさに腕をつかんでくれたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「大丈夫か? やっぱり調子が悪いんじゃないのか?」
「いえ、ちょっとつまずいただけですから」
林太郎さんは私に探るような視線を向けてきたが、やがて肩を竦めて腕から手を離した。
「わかった。じゃあ行こう」
「はい」
頷いて、歩き出そうとして……私はその場に固まってしまった。