かけて、其れ切り
その声に、台所から顔を覗かせた母が、私の手元を見るなり「それ、どうしたの?」と聞いてくる。
私はお気に入りだったウサギのマスコットと、それを物々交換してきた旨を母に話した。でも、何故か『幽現屋』と桜子さんのことは話せなかった。何だか分からないけれど、話してはいけないような気がしてしまって。
母は、まさか娘が学校帰りに謎のお店に寄り道したなんて思いもしなかったのか、勝手に相手は学校のお友達の誰かだと思ったらしい。
「ひかりも物好きねぇ。ランドセルに付けられるマスコットの方が可愛かったでしょうに。でも一度OKを出した以上、気が変わったからって返して欲しいとか言っちゃダメよ?」
相手の子が言ってきたならともかく……と付け足しながら、興味を失ったように台所へ消えた。
そんな母の後ろを、雲丹がニャーニャーとご飯の催促をしながら追いかけて行く。
私はそれを、ぼんやりと見送った。
私はお気に入りだったウサギのマスコットと、それを物々交換してきた旨を母に話した。でも、何故か『幽現屋』と桜子さんのことは話せなかった。何だか分からないけれど、話してはいけないような気がしてしまって。
母は、まさか娘が学校帰りに謎のお店に寄り道したなんて思いもしなかったのか、勝手に相手は学校のお友達の誰かだと思ったらしい。
「ひかりも物好きねぇ。ランドセルに付けられるマスコットの方が可愛かったでしょうに。でも一度OKを出した以上、気が変わったからって返して欲しいとか言っちゃダメよ?」
相手の子が言ってきたならともかく……と付け足しながら、興味を失ったように台所へ消えた。
そんな母の後ろを、雲丹がニャーニャーとご飯の催促をしながら追いかけて行く。
私はそれを、ぼんやりと見送った。