かけて、其れ切り
かけて、其れ切り
あのウサギの五徳を持ち帰ってきてから数日後の夜。
眩しさにふと目を覚ました私は、存外部屋の中が明るいことに驚く。
そういえば夕方に観たテレビで、今夜は十五夜だと言っていたような――。
お団子を食べたわけでもお月見をしたわけでもなかったのですっかり忘れていた。
寝ぼけ眼で部屋の中を見回すと、私は何となく違和感を覚えた。
「――?」
ベッドの上に上体を起こして、胸騒ぎの原因を探る。
「あっ!」
と、窓辺に置いておいたサボテンの鉢が、床に落ちて砂がバラまかれてしまっていることに気がついた。
私の声に、窓辺から「ニャーン」という声がして、雲丹がカーテンを揺らしてこちらに来る。
「もう、雲丹ちゃん! サボテン、落ちちゃってるじゃない」
雲丹が開けた、カーテンの隙間から射し込む月光を頼りに、床に這いつくばる。
(大丈夫、根っこは無事)
落ちた衝撃で、ほんの少し鉢から土が溢れてしまったようだけど、サボテン自体は鉢の中に鎮座していた。
それにホッと胸を撫で下ろした私の横をすり抜けるようにして、雲丹が部屋から出て行った。
(雲丹め、叱られる前に逃げたな!?)
彼の、ピンと伸ばされた尻尾と、お尻の穴を見送りながら、そんなことを思う。
眩しさにふと目を覚ました私は、存外部屋の中が明るいことに驚く。
そういえば夕方に観たテレビで、今夜は十五夜だと言っていたような――。
お団子を食べたわけでもお月見をしたわけでもなかったのですっかり忘れていた。
寝ぼけ眼で部屋の中を見回すと、私は何となく違和感を覚えた。
「――?」
ベッドの上に上体を起こして、胸騒ぎの原因を探る。
「あっ!」
と、窓辺に置いておいたサボテンの鉢が、床に落ちて砂がバラまかれてしまっていることに気がついた。
私の声に、窓辺から「ニャーン」という声がして、雲丹がカーテンを揺らしてこちらに来る。
「もう、雲丹ちゃん! サボテン、落ちちゃってるじゃない」
雲丹が開けた、カーテンの隙間から射し込む月光を頼りに、床に這いつくばる。
(大丈夫、根っこは無事)
落ちた衝撃で、ほんの少し鉢から土が溢れてしまったようだけど、サボテン自体は鉢の中に鎮座していた。
それにホッと胸を撫で下ろした私の横をすり抜けるようにして、雲丹が部屋から出て行った。
(雲丹め、叱られる前に逃げたな!?)
彼の、ピンと伸ばされた尻尾と、お尻の穴を見送りながら、そんなことを思う。