かけて、其れ切り
それにしても――。
電気もつけていないのに、部屋の中がやけにクリアに見える。
光源を目で追うようにカーテンの隙間に目をやると、それはそれは見事な満月が出ていた。
思わず「綺麗……」とうっとりつぶやいてから、私はハッとする。
「五徳!」
今、ここには、部屋の中の様子が分かってしまうほどの月光が射し込んでいる。
慌てて窓辺に置いた五徳を確認すると、三羽いたはずのウサギが、二羽しか居なくて――。
均衡を欠いた五徳は、室内側に向かって傾いていた。
鉢を落としたのは雲丹じゃないのかもしれない。
その様を目にした瞬間、そう思った。
でも、カーテンに隙間を開けたのが雲丹だとすれば、やはりこうなったのは彼のせいなわけで。
私は、窓辺に置かれた五徳の、月光の通り道に当たる場所に位置していたウサギをキョロキョロと探し求める。
でも、どこにもその姿は見つけられなくて。
それどころか、五徳を動かしてしまったことで、残った二羽のウサギの内のもう一羽にも月明かりが当たってしまい――。
電気もつけていないのに、部屋の中がやけにクリアに見える。
光源を目で追うようにカーテンの隙間に目をやると、それはそれは見事な満月が出ていた。
思わず「綺麗……」とうっとりつぶやいてから、私はハッとする。
「五徳!」
今、ここには、部屋の中の様子が分かってしまうほどの月光が射し込んでいる。
慌てて窓辺に置いた五徳を確認すると、三羽いたはずのウサギが、二羽しか居なくて――。
均衡を欠いた五徳は、室内側に向かって傾いていた。
鉢を落としたのは雲丹じゃないのかもしれない。
その様を目にした瞬間、そう思った。
でも、カーテンに隙間を開けたのが雲丹だとすれば、やはりこうなったのは彼のせいなわけで。
私は、窓辺に置かれた五徳の、月光の通り道に当たる場所に位置していたウサギをキョロキョロと探し求める。
でも、どこにもその姿は見つけられなくて。
それどころか、五徳を動かしてしまったことで、残った二羽のウサギの内のもう一羽にも月明かりが当たってしまい――。