かけて、其れ切り
「ウサギはお好き?」
ふらふらと吸い寄せられるようにお店に足を踏み入れると、店員さんが奥の方から何かを取り出しながらそう問いかけてくる。
私は握りしめたままのウサギのマスコットを見つめながら、これを見て言っているのかな?と思った。
「これ、なんだけどね……」
ゴトリ……と存外重々しい音を立てて、近くにあったテーブルの上に黒いものが載せられる。
見ると、三羽のウサギが丸い輪っかを支えるようにして持っている置物のようなもので――。
鉄で出来ているみたいで、恐る恐る触れてみると、ひんやりとした手触りと、金物特有の鉄臭さが漂った。
「何だか分かるからしら?」
問われたので、素直に首を横に振る。さっきみたいに間違ったことを言って恥ずかしい思いをするよりは、最初から知らないと認めてしまった方がいいに決まっている。
ふるふると首を振る私を見て、彼女が優しく微笑んで教えてくれた。
「これはね、五徳っていうの。火鉢なんかに入れて、下に炭火を熾してからこの丸いところに薬缶なんかを載せるの」
言われてみれば、家のガスコンロのそう呼ばれている部位に似ている気がした。
ふらふらと吸い寄せられるようにお店に足を踏み入れると、店員さんが奥の方から何かを取り出しながらそう問いかけてくる。
私は握りしめたままのウサギのマスコットを見つめながら、これを見て言っているのかな?と思った。
「これ、なんだけどね……」
ゴトリ……と存外重々しい音を立てて、近くにあったテーブルの上に黒いものが載せられる。
見ると、三羽のウサギが丸い輪っかを支えるようにして持っている置物のようなもので――。
鉄で出来ているみたいで、恐る恐る触れてみると、ひんやりとした手触りと、金物特有の鉄臭さが漂った。
「何だか分かるからしら?」
問われたので、素直に首を横に振る。さっきみたいに間違ったことを言って恥ずかしい思いをするよりは、最初から知らないと認めてしまった方がいいに決まっている。
ふるふると首を振る私を見て、彼女が優しく微笑んで教えてくれた。
「これはね、五徳っていうの。火鉢なんかに入れて、下に炭火を熾してからこの丸いところに薬缶なんかを載せるの」
言われてみれば、家のガスコンロのそう呼ばれている部位に似ている気がした。