かけて、其れ切り
「あ、そういえば自己紹介がまだだったわね。私、ここユウゲンヤの店主をしています、クオンサクラコと申します」
食い入るように件の五徳を――というよりそれを支える三羽のウサギたちを――見つめていたら、とても美麗な筆致で『幽現屋 久遠桜子』と認められた、可愛らしいウサギの絵柄の便箋を差し出された。
「あ、わた、私は松本ひかりです」
不意を突かれて驚きながら、私は胸につけた名札を裏返しながら、それを指差して答える。
私の学校の名札は、安全ピンの下の部分がクルクルと回るようになっていて、先生方から登下校中は裏返しにして名前を隠すように指導されている。
「ひかりちゃん、それ、気に入った?」
桜子さんにそう問いかけられて、私は戸惑いながらも、気がつくと小さく頷いていた。
さっきからずっと握りしめたままのお気に入りのマスコットのウサギと、五徳を支えるウサギたちがどこか似ているように見えて……とても親近感を覚えてしまったから。
食い入るように件の五徳を――というよりそれを支える三羽のウサギたちを――見つめていたら、とても美麗な筆致で『幽現屋 久遠桜子』と認められた、可愛らしいウサギの絵柄の便箋を差し出された。
「あ、わた、私は松本ひかりです」
不意を突かれて驚きながら、私は胸につけた名札を裏返しながら、それを指差して答える。
私の学校の名札は、安全ピンの下の部分がクルクルと回るようになっていて、先生方から登下校中は裏返しにして名前を隠すように指導されている。
「ひかりちゃん、それ、気に入った?」
桜子さんにそう問いかけられて、私は戸惑いながらも、気がつくと小さく頷いていた。
さっきからずっと握りしめたままのお気に入りのマスコットのウサギと、五徳を支えるウサギたちがどこか似ているように見えて……とても親近感を覚えてしまったから。