かけて、其れ切り
帰宅
 見た目以上にずっしりと重いウサギの五徳(ごとく)を両腕で抱きかかえるようにして、帰宅する。

 五徳(それ)を手にしたまま、四苦八苦しながら玄関扉をほんの少し開けると、隙間に足を引っ掛けて押し開けるようにして家に入る。

「ただいまぁー」
 言いながら、私は足をすり合わせて靴を脱いだ。お行儀が悪いけれど、両手が塞がっているのだから仕方ない。

 靴を脱いで上がり(かまち)に足を掛けたら、飼っているトラ猫がニャーンとすり寄ってきて、私は危うく彼につまずきそうになった。

「もぉ! 雲丹(うに)ちゃん! 荷物持ってる時に足元に来たら危ないってばっ」

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