落ち切るまでに断ち切って
***
「和博、こっち」
色々考え抜いた末に、私はその砂時計を持って和博を喫茶店に呼び出した。
「あのね、今日は話したいことがあって」
スマホの傍らに砂時計を立てると、残り少ない砂を落とし切りながら恐る恐る話を切り出す。
「何だよ、改まって」
頼んだアイスコーヒーが2つ、「お待たせしました」とテーブルに置かれたと同時に砂時計に手を伸ばしてひっくり返すと、オリフィスを通って緑色の筋が落ちるのを横目に口を開いた。
「――別れたいの」
つぶやくようにそう言ったら、「な、んで?」と喉の奥に詰まらせたような声で和博が言った。
どちらも一口も飲めないままに、アイスコーヒーのグラスの縁が少しずつ水滴で覆われていく。
机の上に水溜りが出来始めた頃、私はようやく彼への「なんで?」に答えをつむぐ。
「理由は自分でもよく分からないの。っていうより」
そこでやっとアイスコーヒーに手を伸ばして、差し込まれたストローをぐるぐる回してから中身を吸い上げると、和博を見る。
グラスを持ち上げたときに滴った水滴がスカートを濡らしてひんやりした。
「和博、こっち」
色々考え抜いた末に、私はその砂時計を持って和博を喫茶店に呼び出した。
「あのね、今日は話したいことがあって」
スマホの傍らに砂時計を立てると、残り少ない砂を落とし切りながら恐る恐る話を切り出す。
「何だよ、改まって」
頼んだアイスコーヒーが2つ、「お待たせしました」とテーブルに置かれたと同時に砂時計に手を伸ばしてひっくり返すと、オリフィスを通って緑色の筋が落ちるのを横目に口を開いた。
「――別れたいの」
つぶやくようにそう言ったら、「な、んで?」と喉の奥に詰まらせたような声で和博が言った。
どちらも一口も飲めないままに、アイスコーヒーのグラスの縁が少しずつ水滴で覆われていく。
机の上に水溜りが出来始めた頃、私はようやく彼への「なんで?」に答えをつむぐ。
「理由は自分でもよく分からないの。っていうより」
そこでやっとアイスコーヒーに手を伸ばして、差し込まれたストローをぐるぐる回してから中身を吸い上げると、和博を見る。
グラスを持ち上げたときに滴った水滴がスカートを濡らしてひんやりした。