落ち切るまでに断ち切って
 やっぱり5分なんて()()()()()()だ。
 でもこんな風に時間を区切らないと、私は迷うばかりで何にも決められないから。
 ふとそこまで考えて……胸の奥に小さな違和感を覚える。
 何だろう、これ。

「なぁ美代子。お前の優柔不断さにつけ込んで、押せばイケるって思ったのは認めるよ」
 和博が、アイスコーヒーストローで乱暴にかき回してからそれを抜くと、グラスを傾けて中身をグイッと煽った。
 グラスの底からポタポタと落ちた水滴が、さぞや彼のズボンを濡らしているだろう。
 冷たくない? 大丈夫?
 そんなことを思ってしまって、私には関係ない、とそっと視線を逸らす。

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