落ち切るまでに断ち切って
「もしかして今も嬉しそう?」
 ソワソワたした気持ちで聞いたら「うん」っていうまさかの返事。

 私、自分の気持ちもやっぱり分からない。

 和博とこの先も一緒にいるべきか迷っている私の思い自体、実は偽物なのかも知れない。
 もう一人の私は彼のことが大好きで、彼が言ったあれこれにキュンキュンできる乙女なのかも?
 優柔不断の虫がまたふつふつと湧いてきて、私は小さく溜め息を落とした。

和美(同僚)がね、5分以内に物事を決断できるよう訓練したら?って言うの」

 ずっと立ち止まったままもおかしいなと思って不意に歩き始めたら、和博も何でもないみたいに私の横を歩き始める。

「5分。そりゃあまた美代子には難題だ」
 クスッと笑われて、「それ」と答えてから、私はまたさっきみたいに小さく溜め息を落とした。
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