お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
唯一と言っていい。自分の前だけで笑ってくれる咲にその規則を告げれば・・・残酷な未来を知ってしまうかもしれないからだ。

その規則を知った時、玲は初めて挫折しそうになった。

咲のそばにいることを悩んだ。

こんなに悲しい結末が決まっているのなら・・・はじめから咲のそばにいないほうが彼女の為かもしれないと悩んだ。

でも、離れる決断をできなかったのは、どうしようもなく膨らんでしまった咲への想いと、心を保とうと必死な咲が壊れてしまいそうで、どうしても守りたかったからだ。

「さて、そろそろ着替えと化粧しないと。」
「・・・ありがとう。よくなった。」
全然よくなっていない顔色のまま、鏡越しに目を開けて玲にお礼を言う咲。

「食事が済んだら庭園にいきましょう。」
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