お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「できたわ。」
咲は化粧と着替えを済ませると、もう一度玲を呼んだ。
華奢な体に合っているワンピースと、ヒールの靴。色合いも咲らしくあわい色でまとめられている。

会社に行くときはモノトーンのスーツ姿が多い咲。
家の中では淡い色のワンピースを好んで着ていた。

ただ、父親と食事をするだけなのに、この家ではこれ以上ラフな格好は食卓から追放されるくらいのタブーだ。

たとえ朝食だとしても、しっかりと身だしなみを整えてすぐにでも外に出られるような正装を強いられている。

「行きましょう」
玲は咲の斜め前を歩きながら食事をする部屋まで移動する。
「あと10分ほどでいらっしゃる予定です。」
少し振り向きながら言うと、咲はこわばった表情で玲の後ろを歩いていた。
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