お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
まだ咲の体調は万全ではない。
行ける場所も、マスコミや人の少ない場所しかない。

それでも、どうしても咲と行きたい場所があった。

「ゆっくり休んでていいから」
助手席の椅子はすでに少し倒されていて、咲がいつ眠ってもいいようにしてある。

「カモミールティー、よかったら。」
玲の母が淹れてくれたカモミールティーまでドリンクホルダーに用意されている。

「ありがとう。」
少しだけ表情が柔らかくなった咲に玲はうれしくなる。
そして希望を持つ。
このまま咲が表情を取り戻してくれるのではないかと。

「どこに行くの?」
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