お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「昔来た時も、こうやって手を繋いでたでしょ?」
「・・・あぁ。」
玲が咲を連れて来たのは幼いころに何度か来たことのある水遊園だった。
小さな小さな水遊園には、植物や水中に暮らす生き物が展示されている。
ここならばマスコミも、いない。それ以上にほかの客もほとんどいない。

「行こうか」
「うん」
二人は手をつないだまま、歩き始めた。

まだ体力も戻っていない咲を気遣って、ベンチを見つけるたびに座って休憩をしたり、玲は咲と手をつなぎながらエスコートする。

予想通りに客は玲と咲以外ほとんどいなくて貸し切り状態だ。

「懐かしい」
咲は立ち止まり、じっくりと水槽の中や植物をみる。
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