お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「咲が作ったの?」
「うん!教えてもらいながら。」
無邪気な表情で玲の母を見る咲。
笑顔にもぎこちなさがなくなり、昔の無邪気な咲が戻ってきたように感じる。

「早く来ないと、食べさせないわよー」
「いじわるだなぁ。」
「早く顔、洗ってきて?」
咲の笑顔に胸打たれながら玲は洗面所へ向かう。

その時、携帯電話が鳴り始めた。

キッチンにいる咲に気づかれないように、洗面所の扉を閉める。

「はい」
洗面所の鏡にうつる自分を見ながら玲は話をする。
「支度は徐々に始めています。」
電話の向こうで、相手がどんな表情をしているのかが手に取るようにわかる。
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