お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「私、新しくここの庭師として働いております、藤原清次と申します。藤原克子の息子です。」
「え?」
咲はその名前に憶えがある。

「知り合いですか?」
まだ警戒してる真岸が咲の方をちらりと見る。

「克子さんの息子さん?」
「そうです。生前、母がお嬢様の話をよくしていて、つい声をかけてしまいました。突然申し訳ありません。」
その男性に残る克子の面影に咲はくぎ付けになる。

幼いころから咲と玲を陰で支えてくれていた庭師の克子。

克子の手入れしている花畑が大好きだった。
「生前、母が大変お世話になりました。ずっとお礼が言いたかったんです。ありがとうございました。」
深く深く頭を下げる清次に、咲も頭を下げる。
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