お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「食事する気にもならん。顔を見たくない。」
「申し訳」
「声も聞きたくない。」
父に頭を下げる咲。

結局父はその場から立ち去ってしまった。

父がいなくなった部屋。
広すぎる部屋に残されたのは咲と玲。

頭を下げたままの咲は全身ががたがたと震えている。
咲は昔から人前で話をすることが苦手だ。
まして、父に対しては異常なほどの緊張をしてしまいうまく話はできない。

それが突然厳しい指摘をされても、咲にはうまく答えることができない。

「だめね、私って。」
父がいなくなってもまだ頭を下げていた咲が頭を下げたまま言う。