お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「母はお嬢様の事を心配していました。お嬢様は私と変わりない年齢なのに、大変な人生を歩まれていること。これから先もきっと困難が待ち受けているだろうとも話していました。そんなお嬢様がこの場所に来ている間だけでも、嫌なことを忘れて、心安らげるようにっていつも花畑の花を絶やさないことばかりを考えていました。」
今になって知る克子の温かな気遣いに咲の瞳から涙が溢れる。

すかさず真岸がハンカチを咲に差し出す。
「ありがとう」
真岸のハンカチを借りて涙を拭う咲。
「これからは私が母の意志を継いでここに花を育てます。花を絶やすことの無いように。」
「期待しています。ありがとう。」
咲は清次に頭を下げる。

清次が作業に戻ると東屋には咲と真岸が残った。

「繋がってるのね。」
咲は空を見上げる。
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